善悪のサイクル
久しぶりに新幹線に乗り、祖父母の家へと向かう。
スピーディーなタイムマシンは塩尻へ向かう。
普段電車に乗るときは、音楽聴いてたりスマホをいじってたりと、勝手に忙しなく暇を持て余しているが、たまのこんな日はイヤホンを外してスマホもカバンにしまうと、待合室での人間観察の面白さが身に染みる。
国籍も把握できない、BRAHMANのバンTを着た外人
絶対良いやつ
落ち着きのない子どもに、愛の感じない言葉を浴びせる母親と祖母
この親にしてこの子あり
下の中同士の見た目で、お似合いなカップル
待合室でこれから始まるGWを一番楽しみにしてそうで、一番輝いている
そんな中少し離れて、一席だけ空いているところに老夫婦の奥さんが座る。
すると咄嗟に横の青年が席を進めるが、混雑している待合室の中、老夫婦も申し訳なさそうに躊躇している。
近くの席はすぐに空いた。
青年の親切は誰をも救った。
かと思ったらその青年、今度は赤ちゃんを抱いている女性に席を譲った。
そして近くの席がまた空き、また誰もが救われた。
「情けは人の為ならず」を、数分間で見事に体現するこの青年。
GWに浮かれて気分で席を譲ったのではなく、日頃からこういった親切を心掛けているのだと思う。
たまの親切で偶然近くの席が空いて誰もがハッピーなんだとしたら、幸せを使い果たしてこの後老夫婦か青年のどちらかが死ぬであろうサクセスストーリーが眼に浮かぶ。
日頃から良いことをしてる人は、日頃からコツコツと善徳を積み立てて、その見返りが利息付きで与えられ、気持ちに余裕が出来てまた善徳を積む。
永久機関だ。善人の完成だ。
どこかで自分が変わらないと、悪人は悪人のままだし、ブスはブスのままだ。
人当たりの良さそうな好青年。別に偉人とか英雄じゃなくても、こういった身近な人を尊敬して、自分自身を振り返り生きていってもありなんじゃないかと思った旅だった。
BRAHMANのTシャツ着てた外人は日本語ペラペラだった。